【海街diary】何気ない日常が愛しく思える映画(映画ネタバレ感想)
公開日:2015/08/09 更新日:2020/02/09遅くなったけど、「海街diary」見て来ました。
20:40〜のレイトショーだったんだけど、1,500円とは驚き。
丁寧であたたかい映画でした。原作は読んでないので、映画との違いとかはわからなかったけど、この豪華なキャストを使っていながら、しっかりと家族、人間を描いていて、最後は心温まる映画になっていた。
映画「海街diary」のそれぞれのキャストの役柄や、印象に残ったシーンや感想をまとめていく。
目次【記事の内容】
「海街diary」の概要
2015年製作/126分/G/日本
配給:東宝、ギャガ
監督:是枝裕和
原作:吉田秋生
撮影:瀧本幹也
「海街diary」のキャスト
綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すず、加瀬亮、鈴木亮平
海街diary予告篇
「海街diary」のあらすじ
鎌倉で暮らす、幸(綾瀬はるか)、佳乃(長澤まさみ)、千佳(夏帆)。そんな彼女たちのもとに、15年前に姿を消した父親が亡くなったという知らせが届く。葬儀が執り行われる山形へと向かった三人は、そこで父とほかの女性の間に生まれた異母妹すず(広瀬すず)と対面する。身寄りがいなくなった今後の生活を前にしながらも、気丈かつ毅然と振る舞おうとするすず。その姿を見た幸は、彼女に鎌倉で自分たちと一緒に暮らさないかと持ち掛ける。こうして鎌倉での生活がスタートするが……。
シネマトゥデイ
「海街diary」の感想
何気ない日常が素敵なんだと教えてくれる映画
食卓でご飯を食べたり、お風呂で虫と出くわしたり、誰かが家に帰ったときにはかならず誰かが「おかえり」って言って、みんなが居間でくつろいでたり。
普段の日常生活を、まったく違和感もなく自然に、クスッと笑えるような面白さを交え、とても丁寧に切り取っていた。
映像については、撮影監督の瀧本幹也さんの手腕によるところが大きいんだろうな。瞬間の切り取り方が素晴らしい。
鎌倉の街並も紫陽花だったり、花火だったり、海だったり、季節を通していろいろなシーンを描いてて、鎌倉に住んでいるのがうらやましくなっちゃいました。なんか、見ててくつろげたなぁ。
映画館を出た後に、他のお客さんが「綾瀬はるかの所作がすごいきれいだった。」と言ってるのを聞きましたが、なるほど、と思いました。
まったく違和感のない、個性が活かされたキャスト
とにかくキャストが豪華で注目を浴びているが(舞台挨拶行こうかと思った)、すごい適役というか、役柄にぴったり合ってた。
綾瀬はるか
長女/幸は看護士で、両親の代わりに3姉妹の面倒を見るしっかり者。
グリコのCMだったりで見る綾瀬はるかとは全然違って、ほんとお母さんみたいに見えた。
幸は仕事柄もあってか、ずっと前髪上げてるんだけど、後半椎名(堤真一)と別れを告げるときだけは、前髪を下ろしてて、長女としてではなく、個人としての決意を感じた。
長澤まさみ
次女/佳乃は恋愛に奔放で、ダメンズ好き。信用金庫勤め(なぜ)。
長澤まさみは『モテキ』と言い、最近こういう役柄多いな。すっかり見慣れてきた。
お葬式のときには一人だけ泣いたり、二ノ宮(風吹ジュン)が病気でお店を閉鎖する、と言ったときには神様に怒ってみたり、喜怒哀楽がはっきりしてて、実は家族の、というかこの映画のスイッチャー的役割だったりする。
夏帆
三女/千佳は無邪気で、少し子供っぽい、不思議ちゃん。スポーツ店勤務。
夏帆はすごいいい役でした。常にマイペースでおっとりしてて、自分の世界観を大事にしてる(なんとなく美大にいそう)。平和主義者で画面に千佳がいるときは、安心できる。
やっとの思いですずがお父さんのことを打ち明けたときも、「あ、そうなんだ〜」と言ってすごく自然に受け入れる。深く詮索はせずに「今度、お父さんとのことゆっくり聞かせてね」なんて、微笑みながら伝えるシーンはすごくジーンときました。
個人的に大好きなキャラだなぁ。すずがすんなり姉妹に溶け込んでいけたのも、千佳の存在があったからな気がします。
広瀬すず
腹違いの妹/すず(役名といっしょ)は、複雑な環境で育ってきたため、周りに気を遣って悩みを誰にも言えず、変に大人じみてしまった中学生。この映画のキーマン。
そして、すず。すごかった。これは、広瀬すずの映画だった。間違いなく。
自身は母親が不倫後に結婚して生まれた子で、さらに両親が亡くなり、血もつながっていない父親の3回目の結婚相手の母親に預けられ、はたまた、父親の初婚相手との子供(3姉妹)といっしょに暮らすことになる、という文章で書いててもよくわからなくなるぐらい複雑な環境で育った子。
最初は自分の居場所がない感じで、控えめで大人しく、意思を表すのに躊躇している感じだったのが、3姉妹や学校の友達、定食屋のおじさんらいろいろな人と接するうちに、心を開いて行く。心を開いたり、閉じたり、また開いたり。
とにかく難しいその役柄を変に誇張しすぎることなく、等身大の演技で演じてて、素晴らしかった。すずを囲む周囲の人もとにかくあたたかくて、素敵でしたね。
脇を固めるキャストも豪華
あと、その脇を務める役者たちも素晴らしいです。
加瀬亮、堤真一、風吹ジュン、樹木希林、大竹しのぶ、リリーフランキー・・・。
樹木希林のシーンを食ってしまう感じはすごかった。空気がガラッと変わる。たけしみたいな空気感を纏ってる。
桜の並木道の演出
キャストとは別にすずが自転車で桜の並木道を通り抜けるシーン。
あとで、二ノ宮さんが亡くなったときやラストシーンで「死ぬと分かっていても、桜を見て、きれいなものをきれいと思えるのは幸せなこと」というところで、お客さんに「あの桜か」と時間差で共感させる、あの伏線の引き方はすごいなと。
桜のシーンがフラッシュバックするように伏線を引いている。
人を想う気持ち、家族の絆が温かい
葬儀や法要などのシーンが多い映画でしたが、個人的にはあまり全体的に悲壮感や死に対してのリアリティを感じなかった。そこら辺は家族の絆を描きたかったから、あまり意図してないのかな。
傷つき、ぶつかっても、家族がいれば、人を想う気持ちがあれば、きっと大丈夫。
そんなことを「お父さんはダメな人だったけど、本当に優しかったんだろうな」という最後の一言に感じた。
いいことばかりではないけれど、日本っていいな、なんでもない日々が大切なんだなって感じる素敵な映画でした。
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