【ドラゴンクエスト ユア・ストーリー】感想|伝説の傑作ゲームがなぜ…?悪評の理由とよかった点(映画ネタバレ感想)
公開日:2019/08/20 更新日:2020/02/16SNSで大絶賛する人いれば、ググるとボロクソに叩く人もいる、ドラクエ映画版はそんな紛糾を巻き起こす映画のようだ。
私もドラクエにハマり(特にⅢ、Ⅴ、Ⅺ)、育ってきた世代なので気になっていたが、SCRAP代表の加藤さんのFBコメントで見に行くことを決めた。
かいつまんで言うとこんな内容だった。
「ドラゴンクエスト ユアストーリー」は本当に名作。
ゲームを愛するすべての人が絶対に見るべき映画。
ドラクエに救われ、ドラクエに人生を変えられた人間として映画ドラゴンクエストはもう最高の映画。
評価が出る前に自分の心で受け止めた方が良い映画がある。
なんという猛プッシュ。宣伝大使かよ。
誰の意見も参考にせず、自分だけで受け止めた方がいいものがある、というのはすごくわかる。 これは見に行かねばなるまい。
結論から言うといいところいっぱいあって、ドラクエ好きにはたまらない映画なはずなのに、最後の最後で一気にドーン!と突き放すという暴挙に出ます。もったいない。。
<2020/2/9追記>
ある意味、話題のドラクエ映画見てきた。
感想としては、
「賀来千香子が思ったより賀来千香子だった」。
現場からは以上です。
目次【記事の内容】
「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」の概要
2019年/日本 上映時間:103分
配給:東宝
総監督・脚本:山崎貴
原作:堀井雄二
音楽:すぎやまこういち
「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」のキャスト
声優:佐藤健、有村架純、波瑠、坂口健太郎、山田孝之、山寺宏一、井浦新、賀来千香子、吉田鋼太郎
「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」予告②
「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」のあらすじ
少年リュカは父パパスと旅を続けていた。 その目的は、ゲマ率いる魔物たちに連れ去られた母を取り戻すこと。 旅の道中、遂にゲマと遭遇し、魔物たちと激しい戦いを繰り広げるパパス。 しかし一瞬のスキをつかれ、リュカが人質にとられてしまい、手出しができなくなったパパスは、リュカの目の前で無念の死を遂げる――
それから10年。故郷に戻ったリュカは「天空のつるぎと勇者を探し出せば、母を救うことができる」というパパスの日記を発見する。 父の遺志を受け継ぎ、リュカは再び冒険の旅にでることに。 立ちはだかるいくつもの試練、そしてビアンカとフローラ、2人の女性をめぐる究極の選択。 果たして冒険の先に待ち受けるものとは!?
映画「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」公式サイト
「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」の感想
足りなかったのは予算?時間?
見終わってすぐ思ったことが「あー!くそっ!!」という悔しさと「なんで?」という疑問だった。
もう、作り直させてほしいぐらい。 いろいろ無理や制限があったのか、実に悔やまれる。
ストーリー < 時間 + CG + 声優
時間
そもそもⅤのあの濃厚で膨大な時間、ストーリーを103分で伝えるのは、到底無理。 ファンとしては前編・後編にしてほしいぐらいである。 でないとパパスもマーサも報われない。
もっともⅢなら103分でできたかもしれない。 映画向きのストーリーではないけれど。
結果、ストーリーと感情が中盤の結婚ぐらいまでシンクロしない。 特に序盤の展開は早すぎて、
- 幼少期の妖精が登場しない
- 主人公のパパスへの憧れの描写が少ない
- ヘンリーがいきなりさらわれる
- 主人公が成人してイヤイヤ旅に出る
など、いろんなことが急転直下で起こり、観客を無視して物語が進んでいく。
とにかくついていけないのだ。
終盤ではいろいろな伏線回収が始まるが、ブオーンが仲間になったり、急に妖精が現れたり(尺短っ!)、原作を知ってると「えぇっ!?」と驚くことばかりだ。
CG
CGも膨大なお金がかかったのだろうか。
ググったら、キャラ制作で1年以上かかっているようだ。 ドラクエの世界観は忠実に再現してたし、鳥山明のゲームキャラクターと違うけど、これはこれでいいな、3DCGでやるとこうなるのか、と感心した。
ただ、これにお金をかけすぎたのなら、鳥山明のイラストで作ってもいいのではないか、とも思った。逆にそれはそれで見たいし。
冒頭のゲームから始まるシーン、勇者が双子ではないこと、エンディングのシーンなど、CGで予算、時間使い尽くして描ききれなかったのかな、などと想像。
声優
キャストがこれまた豪華。実写映画か、というくらいのキャスト(というか、ほぼ「何者」)である。 あまり事前に声優とか調べていかなかったから、エンドロール見るまでほとんど誰かわからなかった。
それほどにフィットしてたし、まったく違和感なく入っていけた。 中でも、ビアンカ役の有村架純、フローラ役の波瑠、ゲマ役の吉田鋼太郎は素晴らしかった。吉田鋼太郎なんて、もうゲマそのもの!ゲームでも声聞いたことないけど。
まだ聞いたことない、頭のイメージの声とぴったりって、あなたすごいことよ?
ただ、マーサ役の賀来千香子が想像の斜め上をいくほどに、賀来千香子だった。 一番初めに喋ったシーンで「あ!賀来千香子だ!」と気づいてから、全然マーサだと思えず、中身が入ってこない。 マーサのビジュアルより賀来千香子が前に来ている。 賀来千香子より賀来千香子。
せめて声色変えてくれよ。石田ゆり子がよかったよ。 唯一のミスキャスト。
日本には「すぎやまこういち」がいる。
全体的には問題だらけだったが、よかった点も紹介したい。 闇の中にも、光を見出したい(ドラクエだけに)。
交響組曲「ドラゴンクエストXI」過ぎ去りし時を求めて すぎやまこういち/すぎやまこういち指揮東京都交響楽団 ソロ・コンサートマスター 矢部達哉
音楽はどれもゲームで聞いた曲ばかりだが、映画の中で聞くと音のグレードも違うし、オーケストラの臨場感がすごくて、映像とセットになると新しい楽曲になっていた。
アメリカにはジョン・ウィリアムズ(スター・ウォーズの作曲家)がいるが、日本にはすぎやまこういちがいる。
何度でも見たい「再会〜結婚」と「勇者登場」
制作サイドも結婚のシーンは大事だと思ったのか、これだけ時間が短い中でもじっくり時間をかけて描写していた。このために作ったんじゃないか、と思えるほどだった。
ちなみに、ビアンカの父親ダンカンが病気で看病が必要という説明や、フローラの幼馴染アンディといった重要な決定打になる人物は一切出てこない。
再会したときにフローラが弁解するシーンはキュン死にしそうになったし、
ビアンカの名言「その気になっちゃったんだからね」はグッと、そしてウルっときた。
あれ、有村架純なんかい。 お酒飲みながら上映会して、もう一回見たい。 さぞ酒が旨いことだろう。
占いのお婆ちゃんにフローラが変身していた、というオチだけど、あれは「変化の杖」だったのかな?
勇者の登場シーン、というかつるぎを抜くシーンもよかった。 主人公が石に変えられ、ビアンカが囚われ、絶望の中で見せた、まさに一筋の光で鳥肌もの。
ラストシーン・オチ(ネタバレ)
よかった点ではなかったけど、自分なりにラストシーンをどうしてそうしたか考えて思ったのが、サブタイトルの「ユア・ストーリー」。
ドラクエの設定で主人公がしゃべらないのは「主人公はプレイヤー自身、あなただ」という意味だが、これを最後に表現しようとしたのではないか。
映画では主人公も話さざるを得ないので、
「映画の主人公はプレイヤーの1人でした」 「あなたが感じたものがあなたの物語です」
とするためにああしたのかな、と。
まぁ、それでもあのシーンはよくわからなかったが。 絶対あのまま余計なことせずに、エンディング迎えるでよかっただろう。 時が止まったシーンは、劇場にいた観客も同様に時が止まった。
エンドロールが終わって、場内が明るくなってきたときのあの観客のとまどいは忘れられない。
ナイス、ザワザワ。
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