【レポート2】PARTY 伊藤直樹さんのキャリアから紐解く「世界で通用するクリエイティブディレクションとは?」セミナー
公開日:2016/08/24 更新日:2020/02/017月に「六本木未来大学」で行われたPARTY伊藤直樹さんのクリエイティブディレクション講座の第2弾。
今回は海外の広告賞の話から日本の広告業界での立ち位置、ワイデン&ケネディ、NIKEの広告、成田空港第3ターミナルの空間デザインなどについて語っている。
【レポート1】PARTY 伊藤直樹さんのキャリアから紐解く「世界で通用するクリエイティブディレクションとは?」セミナー
【レポート2】PARTY 伊藤直樹さんのキャリアから紐解く「世界で通用するクリエイティブディレクションとは?」セミナー
【レポート3】PARTY 伊藤直樹さんのキャリアから紐解く「世界で通用するクリエイティブディレクションとは?」セミナー
目次【記事の内容】
2010年 海外賞の審査や外資系クライアントで英語漬け
世界の広告審査会では、ニューヨーク、ロンドンが圧倒的に意見強い。それは、
R/GAのCEOボブ・グリーンバーグや、
ワイデン&ケネディのCEOダン・ワイデンら、世界的に有名なクリエイティブディレクターの影響力が大きいから。
審査が始まると、とにかくNY、ロンドンのクリエイティブディレクターは主張する。スウェーデン、ドイツ、日本は真面目で同調する。ブラジル、スペインは意に介さない。
食事中にブラジルやスペインのロビー活動が始まる。「これたまたまチラッと見たんだけど、良くない?」と話しかけてきて、自分の知り合いの作品などを通そうとする。
これは、審査だけではなく、世界の作り手のパワーバランス。カンヌ、One showなど世界の広告祭全て同じ。澤本さんの映画「ジャッジ!」の中でもロビー活動のシーンが描かれているが、審査では本当によく起きていること。
ちなみに、伊藤さんはあまりに周りがうるさく自己主張するから、審査会で普通のことを言っても聞こえないし、周りの審査員に聞いてもらえないので意味がないと考え、変なことを言いまくって、自分の話を聞いてもらえるようにしていた。
ワイデン&ケネディ
どういう会社かが分かるエピソードの紹介から。
黒人が白人に射殺されて、ワイデン&ケネディのWebサイトを一面ブラック、白いコピーだけにした。決して批判的なコピーではなく、仲間に黒人がいて、悲しんでるというもの。
多国籍な企業ゆえの社会的メッセージを会社のWebサイトを使って発信するという問題意識、大胆さを受け入れるカルチャーがある。
ワイデン&ケネディでは、ワイデンがマニフェストを書いてからキャンペーンが始まる。まず最初に「意思が何か」を書く。
NIKEのタグライン「Just Do It.」もワイデンから生まれた。
NIKE 「Just Do It.」 1976年ポートランドで殺人を犯したゲイリー・マーク・ギルモアが、なかなか死刑執行されないので、「Let’s do it.」と言った。
ワイデンはそのセリフを「ぬるい」と思い、「Just Do It.」としてNIKEに提案。NIKEのCEOフィル・ナイトに断られたが、「オレを信じて、これでやらせてくれ」と通した。
ファンクで個性的なワイデンがマニフェストを作り、そこから全てが始まる。それがワイデン&ケネディのやり方。
a manifest as the brand voice
ワイデン&ケネディで仕事をして、とても参考になったし、勉強にもなったが、勝てないと感じて、逃走したくなった。
英語じゃ勝てない。非言語なら、どうか。
非言語のプロジェクト
NIKE FREE RUN+ 「NIKE MUSIC SHOE」
NIKE FREE RUN+ 「NIKE MUSIC SHOE」
Nike Free Run+の特性、「よく曲がる」「Nike+のチップが搭載できる」の2点を伝えるため、「曲がると音がでる楽器」を開発。アーティスト「HIFANA」に演奏してもらうミュージックビデオを制作した。
言語に依存しない「ジャパネットたかた」。 商品デモから逃げなかった。3分の動画でずっと曲げたり、動かしてる。
THE GLOBAL EKIDEN RELAY 「RUN Fwd:」
THE GLOBAL EKIDEN RELAY 「RUN Fwd:」
「NIKE+ GPS」はNIKEの距離やタイムを計算するiPhoneアプリ。
その発売に合わせたキャンペーンで、まずユーザーはアプリを入れて、チームを結成。リアルに走って、次の走者をメールで指名していく。
72時間以内に走らなければそのチームが失格に。一番多く距離を稼いだチームが勝ち、というリアルとオンラインを組み合わせたタスキリレー。
メール転送は、無言の圧力。「よろしくね」という圧力。
急にメッセージが届いてタスキをつながなければならない。面白かったのが海外と国内の反応の違い。
海外はなんでオレがやらないといけないんだ、とタスキは途切れる。日本人は真面目な国民性か、タスキが途切れない。
NIKE TASUKI TWITTER
NIKE Japanがサポートする、2010年の箱根駅伝に参加する4つの大学(駒沢大学、城西大学、東洋大学、早稲田大学)の駅伝選手への応援メッセージをTwitterで募集。
投稿されたメッセージをミシンを使い、たすきに刺繍していく。刺繍の様子はUstreamで生中継。
レース終了後には、メッセージの刺繍された巨大なたすきが4つの大学に贈られ、さらにNike Harajukuで展示された。
応援は声量ではなく、気持ち。ミシンをハックして縫い付けることができる。
Twitterのツイートをたすきに縫い付ける。普通に応援しても声は届かないけど、タスキに縫い付けて本人に渡せば届けられる。ミシンの音が山の神、柏原くんを応援している。
TOYTOYOTA 「Backseat Driver」
GPS連動型のゲームアプリ。乗っている車と同期して、自分が車を運転してる疑似体験ができる。
クルマを使ったポケモンGO。子どもは運転できない。このアプリで子どもも、スマホ上で運転ができる。
3D写真館 「OMOTE 3D SHASHIN KAN」
世界初の3D写真館。会場内の特設ブースで自分をスキャニングして、3Dデータを撮影。3週間後に自分のフィギュアが完成する。
撮影でも、散髪でもなく、10分のスキャン。
2015年代官山ヒルサイドテラスに
お隣さんにKIGIがいる。デザインがすごくて、逃走したくなった。
いわゆるデザインじゃ勝てない。体験のデザインなら、どうか。
辞書だとUXは狭義の意味しかない。
PARTY NYの川村さんが安室奈美恵の「Golden Touch」を制作。YouTubeで新しいUXを追求できた。
安室奈美恵 「Golden Touch」ミュージックビデオ
川村真司さん(PARTY NY)と、ニューヨークとロサンゼルスを拠点とする映像プロダクションLOGANによる安室奈美恵のミュージックビデオ(MV)。
“Touch”をコンセプトに、ビデオ画面をタッチしながら、色んなタッチを疑似体験することが出来る。疑似インタラクティブな仕掛けがたくさん盛り込まれている。
成田空港 第3ターミナル(LCC専用)
空間デザインをディレクション。
日建設計から「建築計画の段階からサイン設計を念頭に置いた空港を作りたい。そのために基本設計の段階から伊藤さんの考えを取り入れたい。」とのことで、サイン計画など含め、初期の段階から携わり、「体験のデザイン」をすることができた。
実際に行ったときのレポートはこちら。
【ニューヨーク旅日記3】成田空港の「第3ターミナル」「GALLERY TOTO」はテンションが上がる
【レポート1】PARTY 伊藤直樹さんのキャリアから紐解く「世界で通用するクリエイティブディレクションとは?」セミナー
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