【ニューヨーク旅日記4】シカゴの空港で軟禁され、映画「ターミナル」みたいになった話
公開日:2016/10/18 更新日:2020/02/09前回の成田空港を出発した続き。
アメリカン航空の飛行機に乗ってからシカゴのオヘア国際空港へ。悪夢のような事件はそこで起きるのだった…。
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目次【記事の内容】
アメリカン航空の機内はかっこいい
乗ったのはアメリカン航空。Panasonicが提携してて、機内でもwi-fiが使えるようになってる。が、アメリカン航空の会員以外は有料…。
機内のディスプレイ。タッチパネルでデザインもかっこいい
今どこ飛んでるか、あとどれぐらいかとかの航路情報。昔パソコンでやったパイロットのシミュレーションゲームのようだ
17時発のフライトで到着まで12時間ぐらいあんだけど、ほとんど1時間ぐらいしか眠れず。
そんな中、食事が夕食、軽食、朝食と3回も出る。太るわ。
機内では特にやることもないので、映画を4本見たり。
シカゴ オヘア国際空港
シカゴへ到着。飛行機下りた瞬間から押し寄せる、アメリカ感。
入国審査でAPCという機械(キオスクというらしい)で審査を済ます。これを導入してくれたおかげで、セルフで機械に入力した個人情報や関税のデータが、自動でその入力データが審査官のところに行く。
面倒な税関申告書の記入が不要になる。日本語だし、安心。
APCでの入力を済ませ、レシートを受け取って、列に並ぶ。案内役の人に言われ、友達とは別のラインに。今思えばここが運命の分かれ道だった。このあとあんなことが起ころうとは…。
僕の方が先だったので、審査官にレシート、航空券、パスポートを渡す。特に質問もなく、通過。友達はまだかかりそうだったので、先にBaggage Claim(荷物を受け取るところ)に行って、自分のキャリーを受け取る。
友達のも探しに行ったが、まだベルトコンベアーに現れない。一旦、友達が見える位置まで戻り、審査が終わるのを待つ。
友達が審査官の前で話してる。友達はほとんど英語がしゃべれないが、そんな難しい言葉も話さないだろうし、相手がわからなければゆっくり話してくれるだろう。
雲行きが怪しくなる
スマホ見ながら待つこと10分。長い。どうやら会話が噛み合っていないようだ。トランジットまでの時間は2時間。何かあるとまずいので、友達と審査官に割って入る。
審査官はミルコ・クロコップみたいなマッチョの白人だった。
ミルコ・クロコップ。クロアチアのK-1という格闘技の元選手だ。ピークのときはものすっごい強さで、「ターミネーター」という愛称で呼ばれていた
僕「彼は僕の友達で、いっしょに旅行する予定だ。」
自分のパスポートとレシートを提示する。
審「そうか。どれぐらいアメリカに滞在するんだ?」
僕「1週間ぐらい。」
審「どこに泊まるんだ?」
僕「Airbnbだ。」
審「へぇ。Airbnbねぇ。市民権は持ってるのか?」
(はっ!?市民権??たかだか1週間の滞在に市民権などいるわけないだろう。)
僕「いや、ない。ESTAは申請済みだ。」
そう言って、スマホを出して、Airbnbの住所を伝えようとした、そのときだった。
審「No smartphone!!」
とミルコが急に僕のiPhoneを取り上げて、パスポートにたたんでテーブルの奥にたたきつけるように強く置いた。
あとから知ったんだけど、税関のエリアではスマホを使ってはいけないらしい。
そして、別室へ…
ミルコは同僚を呼んで、僕らのパスポートを渡す。
うちらは訳も分からず、その同僚に別室に連れて行かれる。別室は歩いてすぐそばのところにあるが、入ると役所の待合室みたいなところで、木のイスがあるだけ。
そこに、いろんな国籍の人たち(アジアとかアラブ系が多かった)がビッシリ座っていて、ほぼ満席。数十人はいただろうか。「これ、何時間かかるんだよ…」と愕然。
とりあえず、イスに座って待つも、なかなか呼ばれない。
それも当たり前。目の前に受付席みたいのがあって、そこで職員らしきおばさん2人がPCで作業しているのだが、同僚とダベったり、コーヒー飲んだり、まったく仕事していない。
本気でキレかけたが、このとき16時。トランジットの搭乗時刻まであと1時間ぐらいしかない。
アウェイの地で生存本能が働き、この状況はまずいと身体中が信号を受信している。通路に出て、職員と話す。
白人の女性職員は僕の姿を見るなり、こう言ってきた。
職「イスに座りなさい」
僕「聞きたいことがある」
職「イスに座って、ただ名前が呼ばれるのを待っていなさい」
僕「急いでんだよ!(キレた)」
騒いでいると、部屋の中から別の黒人職員が出てきた。
職「どうしました?」
僕「急いで聞きたいことがあるんです」
職「急いでいるのは皆さんいっしょです。どうしました?」
僕「フライトがあと1時間で搭乗時間になるんだけど、このままだと乗れなくなります!」
職「安心してください。もし乗れなかった場合は、別の便に乗り換えられるようにしますので」
(乗り換え便を用意してくれるのか…)とりあえずそれを聞いて、イスに戻って待つことに。
囚人と化す
それからしばらくイスに座って待つも、まったく呼ばれる気配がない。それはそうだ。目の前の職員が仕事をしていないからだ。
挙句、その別室は冷房が効いてて寒い。友達はキャリーを受け取っていないから、服を取り出すこともできない。僕はスマホを取り上げられたので、暇をつぶすことも、誰かに連絡を取ることもできない。
この状況を「絶望」と言わずして、なんて言おう(RADWIMPS風)。
途中、何かあったときのために、友達にシカゴの日本大使館の連絡先を確認してもらおうとする。
しかし、その別室でもスマホを使ってはいけないらしく、あやうく職員に取り上げられそうになり、本当に何もなす術がなかった(そもそも電波が入りにくいのだが)。
ミルコも途中で別室に顔を出して、その度にスマホを見てる人から何も言わずに、スマホを奪い取り、職員の後ろの棚に乱雑に置く。扱いが完全に囚人のそれである。ここには人権など存在しない。
結局、乗る予定のフライトの搭乗時刻は過ぎた。職員にまだか?と催促するも、「座って待て」だけ。
このときはさすがに人種差別を感じて、アメリカ人を嫌いになった。こういうことやってるから、テロ起こされるんだ、とさえ思った。
自分たちが正義だと思い込んでる。他の人たちも「Fxck!」とか「Sxit!」とか言ってた。「こいつら、クソだ」と思う感覚は世界共通らしい。
日本のお役所はまだ仕事してる方だ。まさに日本の常識は世界の非常識。
待っている間、いろいろなことが目の前で繰り広げられた。ドイツ人の5人組が入ってきたときは、ものの1〜2時間ほどで名前を呼ばれて、すぐパスポートを返してもらって、出て行った。
赤ちゃんといるアラブ系の女性が呼ばれたときは、これがまたどういうわけか、女性の黒人職員と揉めに揉めていた。
話を整理すると、そのアラブ女性は旦那さんと離婚して、一人で赤ちゃんを育てているらしい。職員からは「誰がその子の養育費を払っているのか?」「アメリカ国内に市民権のある親戚はいないのか?」など根掘り葉掘り聞かれていた。
そのアラブ女性がなんて回答したのかわからないが、いきなり職員が「あなたは嘘つきだ!そんな人を入国させるわけにはいかない!それが私の仕事だ!!」と実にもっともらしく、激昂していた。
いや、そんな自信満々で言うほど、あんた仕事してへんがな。
解放
寒さに震え、木のイスでケツが痛くなり、トイレへ行くことしか許されない軟禁状況の中、待つこと4時間。やっとの思いで、僕の名前が呼ばれた。牢屋から出る囚人の気持ちである。
職員からは、「どれぐらい滞在するのか?」「どこに泊まるのか?」「アメリカに最近来たのはいつか?」だけ。答えると、パスポートとスマホを返してもらえた。
次に友達が呼ばれたのだが、「彼は英語あまり話せないんだ」と僕が伝えると、「わかってる」と言って、特に質問なし。結局、何が問題だったのかわからず。何も悪いことしてないやんけ。
理由を聞いてまた何かあっても嫌なので、小走りに部屋を出る。時間は21時過ぎ。部屋を出ると、すぐそばに友達のキャリーが置いてあった。それをピックアップして、急いでアメリカン航空のチェックインカウンターへ。
チェックインカウンターは人もいなくて、ガラガラ。社員が地べたに座ってくつろいでいる。全員やる気ないか。
カウンターにいる社員の人に聞くと、
「もう今日のフライトはいっぱいで、明日の朝になってしまいます。」
うわーい!
はい、しゅ〜う〜りょ〜う〜。
もうその日にニューヨークに行くことは叶わない。とりあえず、今日はシカゴに泊まるしかない。
映画「ターミナル」みたいになってきた。
トム・ハンクス演じる男性のパスポートが無効になって空港から出られなくなり、空港内で過ごすことになる映画
とりあえず、翌日の8時の便を押さえる。職員が言ってたように、お金もいらず、振替の搭乗券を発行してくれた。
飛行機でも寝れなかったので、このまま空港で寝ると死んでしまう、と思い、ホテルを探すことに。到着ゲートに着くと、空港の職員らしきおじさんがいて、その人に空港から近いホテルを聞く。
すると、紙を渡してきた。
おじさんから渡された紙。
これは、空港から近いホテルを探している観光客のために渡しているクーポン。
ここに記載されている電話番号にかけると、通話料無料でコールセンターにつながって、この紙のクーポンコードを伝えると、予約したい日の空き状況を確認して、割安料金で予約を取ってくれる。マジ神。
電話してみると、空港近くのヒルトンホテルが空いていると言う。
ヒルトンだから高いだろうな、と思ったが、なんと1泊$67/人。安っ!!
しかも、電話でうまく聞き取れなかったのだが、オペレーターの女性がゆっくり、何回も話してくれて、めっちゃ優しかった。
「初めての土地で、今すぐこれから空いているホテルを探さなければいけない、というサバイバルなときには、アプリやネットは役に立たない」ということを学んだ。
人間は最終的にはアナログなものなのだ。
おじさんにヒルトンホテルの行き方聞いたらすこぶる丁寧に教えてくれた。めっちゃいい人や(涙)。アメリカ人、いいやつもいる。
ヒルトンホテル。日本のとはまた違ったイメージ
泊まった部屋。クイーンサイズのベッド2つ。体の大きい外人のためかこれが普通みたい
結局この日は夜ご飯も食べ損ねて、瀕死の状態で寝た。翌朝は6時起き。
まとめ、というか学び
- 多少お金かかってもトランジットより直行便の方がいい。
- トランジットのときは乗り継ぎ時間にゆとりを持つ。状況によるが、2時間は足りない。
- 友達と入国審査するときは同じ列でいっしょに。
- 入国審査の列でスマホを出さない。
現場からは以上です。
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そして伝説へ。。。
ぃままさに入国審査に二時間かかり明日の朝まで飛行機ないと言われてシカゴ空港で夜をすごしです。日本月いかに素敵で丁寧な国かをヒシヒシと感じながら(笑)
なすさん
コメントありがとうございます。
おぉ、まさに同じ状態ですね…。
空港に泊まられたのでしょうか?
無事にたどり着けますように。